オイル消費量測定

  • S-トレース用分析計

    Bex-1100OC
    1. S-Trace法によるディーゼル/ガソリンエンジン用の連続オイル消費量測定装置(Continuous Oil Comsumption)です。
      重量法やレベル法と異なり応答速度が速く、加速、減速等、過渡現象におけるオイル消費量の測定や解析に有効です。
Bex-1100OC

測定原理

S-FPD(選択炎光光度法)

測定方式

S-Trace法(Total-S)

測定レンジ

SOx 0~5/10/20ppm
LOC 0~10/20/50/100/200g/h

特長

S-Trace法は歴史のあるオイル消費量の連続測定法として認知されています。

S-Trace法は米国SAE-Paperをはじめ日本、ヨーロッパなどでも多くの技術レポートがあり、連続オイル消費量の測定法として世界に認知された優れた方法です。

連続かつ過渡的にオイル消費量の測定が可能です。………秒単位の測定が可能

抜き取り重量法やレベル法は一定の消費量に達しないと計測精度が保てない。このため最低でも1時間から10時間を要します。このため定常運転には一定の利用価値が見出せたとしても新型エンジンの開発や、品質保証の観点からオイル消費のメカニズムを知る必要がある用途には利用できません。 S-Trace法は内燃機関用に用いられる一般的な潤滑油に含有されるS成分(硫黄分)を排気ガスレベルで捕らえることから、高速型の加熱型選択炎光光度法(S-FPD…Selective Flame Photometric Detector)とのマッチングにより、わずか5~10秒程度の時間でオイル消費量を連続かつ過渡的に捉えることが可能です。

新型エンジンの開発に有効です。

上記と重複しますが新型エンジンなどの開発は、燃費とオイル消費がトレードオフの関係になることから、高効率のエンジン開発にはオイル消費のメカニズム解明が必要とされています。S-Trace法+SFPD法は、オイル消費のメカニズムを解明するために必要な技術要素を充分に満たしています。

右図はオイル消費のメカニズムを知ることができる一例ですが、試験エンジンを無負荷高回転させた時のオイル消費量の傾向を示したデータです。この現象は各ピストンリングが無負荷の状態のためリングが回転しやすい状態となり、各リング溝からオイルが燃焼室へリークしているオイル消費のメカニズムを捕らえたデータです。サインカーブのような周期性があるようです。

エンジンの品質保証に有効です。

ピストンリングの傷やシリンダライナーの傷、またシリンダライナーの研摩精度(粗さ精度)の不具合に対してS-Trace法はオイル消費量の微妙な変化として捕らえるだけの充分な検出感度を有しています。



右図は試験エンジンA〜Cの各リングに傷をつける前後のオイル消費量の変化をとらえた一例です。
エンジンの試験条件はすべて同一です。



右図はシリンダーライナーの研磨精度を変化させた時のオイル消費量の変化と消費波形を示した一例です。
右のグラフから明確な様に研磨精度が粗いもどオイル消費量が指数的に増加することがわかります。18g/h及びaが製品レベルの加工精度です。
研磨の加工精度が悪いとaに比較しb、c、d、の様に振幅が大きくなる傾向を示します。

S-FPD法(選択炎光光度法)がS-Trace法の特長をより確実にします。

S-FPD法をより有効的な方法とするためには計測精度や応答性能に優れた分析装置とのマッチングが不可欠です。 S-Trace法の有効性はS-FPDの存在無くして実現されない技術的な要素が多くあります。

オイル消費量の計測には全硫黄(Sulfate)の計測が不可欠です

硫黄分の測定法には種々ありますがSO2ガスに反応する計測法が一般的で、非分散型赤外線吸収方式(NDIR…Non Dispersive Infra Red)が代表例です。しかしながら、内燃機関から排出されるオイル分に含まれる硫黄化合物はSO2ガスだけに限定することはできず、SO3,H2S,COSなどが考えられます。
内燃機関からのオイル消費量を正確に計測するためには全硫黄(Total Sulfer)の計測が必要です。
S-FPDはNDIR法と異なり原理的に全硫黄分の計測が可能であることや測定点から検出器までを高温加熱(120~300℃)することができるため、NDIR法のように測定系の途中に除湿器などを設けることによるSO2ガスの吸着、溶解などの損失エラーがありません。S-FPD法はS原子に反応することから全硫黄分の計測が可能であること、および低濃度のS化合物に鋭敏な検出感度を有することからS-Trace法の優位性を確実にする最良の測定法と言えます。

過渡変化に対応する応答速度性能が不可欠です。

抜き取り重量法やレベル法によるオイル消費量計測の最大の欠点は、1つの測定結果を得るまでに原理的に長時間を要することと言えます。S-FPD法はS化合物に対して鋭敏な感度を有するとともに原理的にS分に対する反応速度が秒単位と素早く、オイル消費メカニズムを求めるために必要とされる試験エンジンの過渡状態での運転にも利用可能です。
抜き取り重量法10~20時間、レベル法約1時間に対してわずか5~10秒という短時間でS-Trace法+SFPD法はオイル消費量(g/h)および消費傾向という両方の結果を得ることが可能です。



右図は車速に対するオイル消費のメカニズムを示す一例ですが、減速時にオイル消費量が顕著に増加するようです。

添加、非添加を問わないワイドレンジ

S-FPD法は市販の潤滑油に含有される平均的なS分(0.5wt%程度)から試験目的に応じてS分を強制添加(約1.5wt%程度まで)したオイルから排出されるS分までを正確に捉えることのできる広範囲な検出範囲を有しています。

豊富な納入実績

S-FPD法によるS分の測定法はオイル消費量の計測に限らず多くの目的に利用されています。
参考例を下記に示します。
■触媒の被毒現象の解明(触媒の品質管理や次世代触媒の開発)
■PM(SOF+SOOT+Sulfate)低減のための硫黄分の連続計測
■DPF(Diesel Paticulate Filter)の開発
■排気臭(H2S...etc)対策
■オイル消費や燃料消費

S-FPD検出器によるS-Trace法とドレン法の相関データ例

S-FPD検出器によるS-Trance法とドレン法の相関データ例